水について

カラダを潤す水


■ 中医学の 水 って?

水とは、カラダの中にあるさまざまな水分のことを指します。中医学では「津液(しんえき)」とも呼ばれます。

たとえば──

  • 臓腑や器官、組織の中にある体液
  • 胃液・腸液・涙・唾液などの分泌液

これらすべてが、水に含まれます。水はカラダを潤し、気や血と力を合わせて、私たちの健康を支えてくれています。

 


■ 水 はどうやってつくられるの?

中医学では、カラダの中の水分は、食べ物や飲み物から生まれると考えています。

まず胃が食べ物を受け入れて消化し、小腸が「必要なもの」と「不要なもの」に分けます。その中から取り出された水穀の精微(栄養のエッセンス)は、脾の働きによってカラダに吸い上げられて水となります。また、大腸でも残ったものの中から、必要な水が取り込まれます。

こうしてできた水は、肺の働きによって全身へと送り届けられます。肺は「宣発(せんぱつ/外へ広げる)」と「粛降(しゅくこう/下におろす)」の力で、水をカラダのすみずみまで巡らせているのです。

そして腎は「気化」という働きで、水のバランスを調整しています。腎の気化とは、カラダの中の水を仕分ける力のこと。

  • カラダに必要な水は再利用し、臓腑や皮膚へ送り届けて潤いとする
  • 余分な水は下へ送って尿に変え、膀胱を通してカラダの外に出す

まるで水道局やリサイクル工場のようですよね。必要な水は配り直し、余分な水は捨てる。この腎の気化作用があるからこそ、私たちのカラダの水分バランスは保たれているのです。

さらに、実際の臓器として存在するわけではありませんが、三焦という通路も、水のめぐりをスムーズにする大切な役割を果たすと考えられています。

 


■ 水 の働き

水は、カラダを潤し、全身を滑らかに整えてくれる存在です。皮膚の表面に広がって肌や毛をしっとり保ち、ハリや弾力を与えてくれます。また、目・鼻・口といった器官を潤して、目の開け閉めをスムーズにしたり、鼻の通りを良くしたり、唇の乾燥を防いだりもします。

さらに、水はカラダの内側にも行き渡ります。臓腑や筋肉だけでなく、骨髄・脊髄・脳髄といった深い部分まで浸み込み、しっかりと潤すことで健やかさを保っているのです。

水が足りなくなると、 肌の乾燥、筋肉のゆるみ、髪のパサつき、目の乾き、唇のひび割れ、鼻や口の乾燥などが起こります。また、水が滞ると流れが悪くなり、まぶたのむくみや全身の浮腫(むくみ)、さらに肥満などにつながります。